海外に所得を全て移転されると困るので、海外子会社との取引価格を独企業間価格を基にして計算し直します。
近年では大企業だけでなく中小企業も盛んに海外へ進出していますが、それとともに中小企業へ向けられる税務当局の目も厳しくなりつつあります。海外進出に伴うリスクの一つは、移転価格税制への理解不足に基づく申告漏れです。海外子会社と取引を行った場合、独立企業間の取引価格より不当に高いまたは安いと見なされると、申告漏れを指摘され多額の追徴課税が発生することがあります。こうした事態にあらかじめ備えておくことが大切です。
移転価格税制は日本はもちろん世界の多くの国で採用されており、どちらの国でも税金逃れをすることは不可能に近い状況です。税務当局の指摘に対して反論するには、海外子会社との取引記録を法令に基づいて文書化しておく必要があります。ただし取引の規模によっては必要ない場合もあるので、臨機応変に対応していかねばなりません。これから本格的な海外展開を考えている企業は、どのタイミングで文書を作成するかが重要なポイントになります。こうしたことは国内だけを対象にしている税理士では、十分に対応しきれない場合があります。不安な点があったら、海外にも拠点を持ち国際間取引に強い税理士法人や監査法人に相談することをおすすめします。